こんにちは!「雪国暮らしの研究所」チームの本田です。
自然とともに日々移り変わる雪国の暮らし。何気ない日々の一コマや、長年受け継がれてきた文化を、実際に生産者や地元のひとを訪ねて学んでいくチームです!
まだまだ知らない雪国を私たちと一緒に見つけてみませんか?
雪の残る山の中へ!目指すは歴史ある秘湯・貝掛温泉
今回は、湯沢の暮らしと切っても切り離せない「温泉」を訪ねました。
越後湯沢から群馬、東京へと続く三国街道沿いに宿を構える「貝掛温泉」です。
貝掛温泉は、「奥湯沢」とも呼ばれる三俣地区にあり、越後湯沢駅前からは、車で20分ほどの山地に位置します。国道から、狭く急な坂道に入り、沢へ向かって降りていくと、ぽつんと佇む、趣ある旅館に到着しました。
訪れたのは4月下旬。山肌に雪が残る涼しい季節です。貝掛温泉の周辺は、湯沢の町中よりも気温が低く、ひんやりと感じました。
町中では満開だった桜も、貝掛温泉ではまだ蕾。同じ町内とはいえ、こちらはさらに山深い「雪国」ですね…!
山に囲まれた貝掛温泉は、街道沿いから少し下った川沿いにあるため、車の走る音も無く一層静かな環境です。川の流れる音が大きく感じました。
お話を聞いたのは5代目当主の長谷川さん。
「長い谷の川」という苗字は、源泉が池から川に流れ、谷へと続く貝掛温泉を表しているそうです 。
貝掛温泉の旅館は、長谷川家が代々営む1軒のみ。旅館が所蔵する室町時代の旅日記には、旅人が立ち寄る風呂屋として記されていました。
もともと越後湯沢は、江戸と越後を結び、古くから人の往来が盛んだった三国街道の中継地にあり、疲れを癒す湯治場として栄えました。街道沿いの貝掛温泉も商人や詩人、僧侶など多くの湯治客が訪れていたのでしょう。
関越トンネルや上越新幹線が開通したことで、人の往来はぐんと減ってしまったそうですが、その状況が隠れた温泉地「秘湯」としての価値を高めていきました。
「目に良い温泉」楽しむススメ
貝掛温泉の泉質は、越後湯沢の町中とは大きく異なります。
無色で無臭のさらりとした質感は似ていますが、貝掛温泉は「目に良い」温泉。
地表から湧き出る天然の温泉は、ナトリウムやカルシウムを含む塩化物泉で、消毒する力があり、眼精疲労にもいいとされています。
目薬とよく似た成分が含まれることから、明治時代には、薬として販売されたこともあったそう。
現在でも、目の湯治のために数週間滞在する旅人もいるとか。
目に疲れを感じるわたしたち現代人に、今こそ必要とされる湯治かもしれません。
もうひとつの特徴としては、源泉が37度と少々ぬるめであること。
長く浸かって、全身をじんわりと温めることができるので、温泉の効果を受けやすいと言えます。
ぬる湯ならではの湯治法があると聞いたので、紹介しましょう。
湯口から手のひらで湯をすくい、目を大きく開いて浸します。瞼を閉じたり開いたりを1~2分続けることで、温泉が目に浸透し、湯に含まれるメタホウ酸の力を直接、得ることができます。
奥湯沢の秘湯、貝掛温泉を訪ねてみませんか?
日常の喧騒から離れて、自然の中(の一軒宿)でゆっくり目を癒すことのできる隠れ家のような温泉。12時~14時までは日帰り利用もできるので、三国街道をドライブする途中に立ち寄ることもできます。
旅人が昔からしてきたように、温泉で疲れを癒してみてはいかがでしょう。
湯沢人の暮らしには温泉がかかせません。せっかくなら、町中の湯を試してみるのも、おすすめの旅の過ごし方です。
取材シリーズ、温泉編はまだまだ続きます!ぜひ、お楽しみに。
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